※2015/10/20 大分戦の結果を踏まえて、数字を最新のデータに更新しました。見にくくてすみませんが、見せ方は今後また考えます。

久しぶりの更新です。気づけば今年のJ2も3分の2が終わり、残すところ後14試合となりました。ジェフは春先の勢いはどこへやら、現在11勝9分8敗の7位で、今年もJ1昇格に向けて厳しい戦いが続いています。

そして、今週末の対戦相手は勝ち点と得失点差でジェフと並んでいる8位のV・ファーレン長崎ですが、長崎と言えばエンドチェンジ。というよりも、「高木琢也と言えばエンドチェンジ」と言った方が正確かもしれません。とにかく、ちょうど良いタイミングなので、フクアリでエンドチェンジされた場合の「効果」について、データを元に分析してみたいと思います。

データはINUUNITEDさんの記事から引用させていただいています!

フクアリでのエンドチェンジに果たして意味はあるのか。

このテーマには、以前から個人的に凄く関心があって、データの分析をしたいと思っていたのですが、過去にフクアリでエンドチェンジされた試合を全て洗い出すのが無理そうなので、半ば諦めていました。ところが、先日、INUUNITEDさんが手間暇かけてフクアリでエンドチェンジされた試合の一覧表を作ってくれていました(そして、その記事のコメント欄で漏れていた試合についても記載してくれている方がいました)ので、そのデータを元に分析していきたいと思います(なお、もしまだ漏れがありましたら、ぜひ教えてください。この記事の中の数字も随時アップデートしていきたいと思っています。)。

で、その一覧表がこちら。そのままコピペするのも何なので、僕の方で前後半のスコアも付け加えています。

2010年以降、フクアリでエンドチェンジされた試合の一覧

2010年第18節 ジェフ0-3札幌(前0-1, 後0-2)
2011年第02節 ジェフ2-0湘南(前1-0, 後1-0)
2011年第20節 ジェフ1-1熊本(前1-1, 後0-0)
2011年第31節 ジェフ2-3群馬(前1-1, 後1-2)
2012年第15節 ジェフ4-0熊本(前3-0, 後1-0)
2012年第37節 ジェフ2-0群馬(前2-0, 後0-0)
2012年第38節 ジェフ1-2大分(前1-0, 後0-2)
2013年第40節 ジェフ0-2長崎(前0-2, 後0-0)
2014年第16節 ジェフ1-0愛媛(前1-0, 後0-0)
2014年第23節 ジェフ1-1長崎(前0-0, 後1-1)
2014年第26節 ジェフ0-0横浜(前0-0, 後0-0)
2014年第35節 ジェフ3-0福岡(前0-0, 後3-0)
2014年第37節 ジェフ2-1大分(前1-0, 後1-1)
2015年第04節 ジェフ1-0岡山(前0-0, 後1-0)
2015年第14節 ジェフ1-1金沢(前0-0, 後1-1)
2015年第23節 ジェフ1-2群馬(前0-1, 後1-1)
2015年第27節 ジェフ1-1徳島(前0-0, 後1-1)
2015年第37節 ジェフ2-2大分(前0-2, 後2-0)※2015/10/20追加

(番外編:2015年天皇杯2回戦 ジェフ1-0岐阜(前1-0, 後0-0))

上記を元に1試合ごとの平均を計算すると、勝ち点1.531.50、得点1.351.39(前半0.650.61、後半0.710.78)、失点1.001.06(前半0.350.44、後半0.650.61)という結果になります。

フクアリでのJ2リーグ戦で、エンドチェンジがなかった場合の平均値

このデータだけでは無意味なので、同じ対象期間、つまり2010年から現在までの間にフクアリで行われたJ2リーグ戦全試合のデータをJリーグ公式データサイトで調べて、上記の各試合を除いた平均値を計算します。これで、2010年以降のフクアリで行われたリーグ戦で、エンドチェンジがなかった場合のデータが出ます。

途中計算は省いて結果だけ書くと、エンドチェンジがなかった場合の平均は、勝ち点1.921.92、得点1.741.72、失点0.970.95になりました(前後半の内訳は不明)。

上の数字と比較すると、エンドチェンジがあったかどうかで失点数はそれほど変わりませんが、得点の平均値が大きく下がり、その結果、平均勝ち点もかなり下がっていることが分かります。分かりやすく比べると、平均勝ち点1.92というのは、現在のジュビロを少し上回るくらいのペースで、平均勝ち点1.53というのは、ちょうど現在のジェフくらいのペースです。エンドチェンジの有無で、このくらいの差が生じてしまっています。

ただし、上記の数字は単純に比較できない可能性があります。なぜなら、フクアリでエンドチェンジをしてくる相手が偏っている可能性があるからです。分かりやすく言うと、上の試合一覧を見れば分かるとおり、その年のJ1昇格最有力候補と目されるようなチームがエンドチェンジをしてきたことはこれまでなく、どちらかというと、ジェフよりも順位が下のチームがエンドチェンジをしてくるケースが多いです。また、特定のチームが何度もエンドチェンジをしている傾向も窺えます。そこで、念のため、過去にフクアリでエンドチェンジをしてきたことがあるチームとの試合だけを対象に、エンドチェンジがなかった場合の成績を集計してみます。

この作業が地味に大変で、やり始めたことを途中で後悔しかけたわけですが、その結果はこちら。

過去にフクアリでエンドチェンジをしたことがあるチームとの対戦で、エンドチェンジがなかった試合の平均値

平均勝ち点2.002.00、得点1.951.90(前半0.650.67、後半1.301.23)、失点0.860.85(前半0.410.38、後半0.460.46)。

さっきの数字よりも極端な数字が出てしまいました。

もちろん、複数のチームの複数の年度にまたがる結果を強引に合算しているので、あまり緻密な数字ではないのですが、ざっくり言うと、フクアリで過去にエンドチェンジをしたことがあるチームから見ると、エンドチェンジをするだけでその試合のジェフのゴール数を平均で0.60.51減らすと同時にジェフの失点数を0.140.21増やすことができ、結果として、ジェフの平均勝ち点を0.470.5減らすことができたということになります。

ここで何より注目すべきは、前後半の内訳です。エンドチェンジの有無にかかわらず、ジェフの前半の平均ゴール数はほぼ同じで、失点数もそれほど変わりませんが、後半については、エンドチェンジがあった場合にはジェフの平均得点が1.301.23から0.710.78に激減し、平均失点も0.460.46から0.650.61に増加することが分かります。

こうして見ると、フクアリでエンドチェンジする効果はかなり大きく、ジェフの対戦相手がコイントスに勝てば必ずエンドチェンジをしてくるというのは、彼らの立場からする合理的な戦略であると言わざるをえないでしょう。

対策はあるのか?

ではこうしたデータを踏まえて、サポーターに何かできることはあるのでしょうか?

まず、エンドチェンジをされてしまうことに関しては、はっきり言ってどうしようもありません。当然ですが、コイントスで負ける確率は5割ですし、「コイントスに勝ったら必ずエンドチェンジ!」と相手が事前に決めていたら、5割の確率でエンドチェンジはされちゃいます。

エンドチェンジされた後のブーイング、についてはどうでしょう。上の数字から分かるように、エンドチェンジされただけでその試合の両チームの合計得点数の期待値が2.812.75(あるいは2.712.67)から2.352.45に下がりますし、特にジェフのゴール裏の観客にとっては、ジェフのゴールを目の前で見られる確率が一気に半分くらいに下がるわけなので、「金返せ」という意味でのブーイングはありだと思います。ただ、相手はまさにロースコアゲームに持ち込むことが狙いなのですから、どんなにブーイングされても、機会があればエンドチェンジをし続けるでしょう。また、試合開始前からブーイングが鳴り響くスタジアムはちょっと嫌だな、と感じる人たちもいるかもしれません。

むしろ逆に、エンドチェンジがなかった場合には、大歓声でゲームキャプテンを迎えるというのはどうでしょう?エンドチェンジがないことが確定した瞬間、その試合でジェフが勝つ確率が上がるわけですから、点が入った場合などと同様に、その時点で喜んでも全くおかしくはないはずです。選手は歓声の理由が分からないかもしれませんが、味方のサポーターからの歓声なら悪い感じはしないでしょう。

そもそも、なんで前後半に攻めるエンドが変わるだけでこれだけ数字に差が出るのかといえば、サポーターの声援の力以外には考えられません。ジェフのゴール裏については色々と言われていますが、この数字はまさにジェフのゴール裏とその近くで応援している人たちの力の証。エンドチェンジに弱いことをネガティブにとらえる必要は全くないのではないでしょうか。

とはいえ、エンドチェンジされてしまった場合に手をこまねいて見ているわけにはいきません。難しいですが、とりあえず上記の数字の違いがあることを認識した上で、「いつも以上に気合を入れて応援する」、「普段以上に前半のスコアが大事になることを意識して、試合開始から終盤のようなテンションで応援する」、「アウェー側のゴール裏近辺の人もできるだけ頑張って応援する」などができれば、多少は数字も変わってくるのではないかと思います。最終的には、エンドチェンジの有無によって成績に有意な差が出ないようにして、「エンドチェンジしても意味ないよ」って相手に思わせられるようになるといいですね。

※2015/10/20追記:修正したデータを見ると、エンドチェンジの有無による成績の差が、前よりも小さくなってきています。この傾向が今後も続くのか、引き続きフォローしていきたいと思います。もちろん、これ以上エンドチェンジされないのが一番ですが。
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