ホーム開幕戦となった日曜日の水戸ホーリーホック戦は、前半に相手を攻守に圧倒して2点を奪ったジェフが、そのまま2対0で勝利!4年ぶりの開幕2連勝を挙げ、最近の自動昇格チームの共通項である「開幕3試合無敗」に王手をかけました。

その原動力となったのは、間違いなく中盤のパウリーニョの存在。豊富な運動量と圧倒的なフィジカルで、中盤で面白いようにボールを奪う奪う。前半の「ジェフが攻め込む→ボールを失う→パウリーニョが相手にプレッシャーをかける→ジェフがボールを取り返す→ジェフが攻め込む」のループは見ていて圧巻でした。また、パウリーニョのところで面白いようにボールがとれるので、それに刺激を受けてか、勇人などもかなりアグレッシブにボールを奪いに行っており、それがチームとして好循環を生んで相手に息をつく暇を与えなかったと思います。水戸の選手たちからすれば、ボールを受けた瞬間にジェフの選手たちが躊躇なく突進してくる姿は、かなりの脅威だったでしょう。

しかし、頼もしい新戦力はパウリーニョだけではありません。僕が特に印象に残ったのは、金井。新入団発表会の写真を見たときから密かに「目が怖いな」と思っていましたが、「こいつは本物だ」と確信したのは、開始8分にイエローカードをもらったシーン。その2分前に金井は水戸の鈴木雄斗選手からレイトタックルを食らっていたのですが、福島主審はこのプレーに対してファールをとったのみでカードは出さず。すると、金井はその直後に鈴木選手がロングパスを胸トラップしようとした隙を見逃さず、後ろから思い切りドスン。「なめたプレーしてんじゃねーよ」「審判が見逃しても、俺は見逃さねえぞ」という声が聞こえてきそうな激しいプレーで、早速アウトローっぷりを発揮しました。さすがにこのプレーに対してはイエローカードが出されましたが、水戸の選手たちも「なんか危険な奴がいるぞ」と感じたに違いありません。

もちろん、ラフプレーやイエローカードは褒められたものではありません。しかし、ピッチ上での小競り合いや威嚇はサッカーの欠かせない一要素であることも事実。戦う前から少しでも相手に「嫌だな」と思わせることができれば、勝負はもう勝ったも同然なのです。ましてや、審判が相手のラフプレーに対して然るべき対応をしない場合には、同じようなプレーを繰り返させないためにも「そっちにできることは、こっちにもできるんだぜ」という姿勢を見せることが唯一にして最大の自衛手段であるとも言えます。

振り返ってみれば、これまでのジェフには良くも悪くも優等生な選手が多く、「殴られたら殴り返す」ようなメンタルは希薄で、気持ちを全面に押し出してアグレッシブに戦ってくる相手には分が悪かった印象があります。また、これがジェフ相手にフィジカル勝負を挑んでくる(挑んでこざるをえない?)下位チームとの対戦成績の悪さにもつながっていた気がします。しまいには、下位チームのサポーターにも「ジェフならやらかしてくれそう」などと言われる始末。つまり、相手から見れば、ジェフのサッカーは「上手い」けれど「怖さ」はあまりなかったのです。

しかし、今年は例年になく闘える選手が揃った気がします。前述のパウリーニョ・金井に加え、長身でなおかつ走れるネイツや、以前から在籍している森本・キム・谷澤など。これには、もちろん関塚監督の意向も入っているのでしょう。そう言えば、去年に比べると、高木は髭を蓄え、中村は髪染め禁止のはずのジェフでいつの間にか茶髪にしてちょっぴり不良感を醸し出すなど、ビジュアル面での「怖さ」もしっかり強化されている気がします。また、途中交代で起用される選手も、バロテッリ似のオナイウ阿道に、ケンペス似の田中佑昌とコワモテな選手が優先されている、、、のかもしれません。

まだ2試合しか終わっていないですし、大宮・セレッソなど昇格争いの本命との対戦もこれからなので「昇格」を口にするのはまだまだ早いですが、今年のジェフは一味違う予感がします。少なくとも、この選手たちなら、仮に試合に負けたとしてもただで負けることはなさそうです。今年こそ「上手いジェフ」ではなく、「対戦相手から恐れられるジェフ」、そして「強いジェフ」が見られることに期待しています!