木山監督が示した「ジェフ愛」

先週末の愛媛戦で、今季8試合目にしてついに初黒星を喫したジェフ。やや自滅した感もありますが、木山監督の執念に負けたと言って良いでしょう。

何しろ試合後に「これくらいスカウティングしたのは初めて」という、ジェフサポ一同が思わずツッコミを入れざるを得ない台詞を残した木山監督が選択したのは、今季初めてとなる5−3−2の超守備的布陣。木山監督が率いた2012年のジェフのように前からボールを奪おうとするとすることも殆どせず、今時J2でもなかなかお目にかかれないような「ドン引き」でした。

この試合までの愛媛の成績は3勝1分3敗で、今年のチームの目標が過去最高成績である12勝12分12敗を上回ることであることを考えれば、まずまずの成績。別にこの試合に監督のクビやチームの連敗ストップがかかっていたわけでもないので、突然このような戦い方をしてきた最大の理由は、やはりジェフを1年でクビになった木山監督の意地だったのでしょう。千葉で学んだことは「やはり結果なんだな」ということだったと話す木山監督は、これからもジェフ戦では異常なまでに勝利への執念を燃やしてきそうな嫌な予感がしますが、「好きの反対は無関心」と言いますので、それだけジェフのことを愛し続けてくれているのだとポジティブに受け止めておきたいと思います。

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(写真は愛媛FCの公式FBから)

愛媛戦から何を学ぶべきか

なお、この試合ではドン引きの守備を崩せないという課題が出ましたが、僕はそれほど心配する必要はないと考えています。というのは、上でも書いたように、あそこまでの極端なドン引きは今時J2でも珍しいですし、愛媛戦では相手が急にあのような戦い方をしてくるとは、おそらく予想できていなかったので、次からは別の戦い方ができるのではないかと思うからです。それでも次やった時に点を取れるかは分かりませんが、そもそも、攻撃を捨てて完全に引いたチームから点を取るのは、ヨーロッパの強豪チームであっても(バルセロナやバイエルンという名前のチームでない限り)困難なわけで、仮にバルセロナ型のサッカーを目指しているのであれば、それでも点を取らないといけないかもしれないですが、今年のジェフは、メンバー構成からして、そこは明らかに目指していないので、あまり気にせずに今までどおりやればいいかなと。

むしろ、この試合で唯一猛省すべきなのは、先に失点したことです。相手があのような戦い方をしてきた以上、最低でもスコアレスドローで終わるべきであったと思うので、そこだけはしっかりと反省して欲しいと思います。でもまあそれも、一昨年のガンバも去年の湘南も愛媛に負けていることを考えれば、それほど気にする必要はないのかもしれません。

むしろ木山監督への恩返し?

最後に、もう一度木山監督について。ジェフ時代の木山監督の評価についてはサポーターの間でも意見が分かれると思いますが、僕は、少なくともJ2降格以降のジェフの監督の中では最も優秀な監督だと当時は思っていましたし、今でも関塚監督を除けばそう思っています。2006年からずっと右肩下がりだったジェフの年間順位を初めて前年より上げたのが木山監督でしたし(過去10年間のジェフの監督の中で、前年よりも順位を上げた監督が木山さんと関塚さんしかいないという衝撃の事実!)、「監督の墓場」と茶化されるジェフにあって、久しぶりにJリーグの監督に復帰した元指揮官でもあります(ジェフの元監督でJリーグに監督として復帰したのは、ベルデニック以来という更に衝撃の事実!)。

少なくとも、ジェフ時代の木山監督の扱い(1年での昇格を続投のノルマにされていたこと、プレーオフ決勝直前に後任人事がスクープされたこと等)に関しては、少しかわいそうな気持ちが個人的にはありました。木山監督には愛媛で今度こそ長期政権を築けるように頑張って欲しいと思いますし、その意味では、先週負けたことによって「恩を返した」のはジェフの方なのかもしれません。木山監督に特に恩を感じていない方には賛同していただけないと思いますが、言い換えれば「まあ、先週の勝ち点3は、久しぶりにジェフの元監督がJリーグに復帰したご祝儀代わりだ。その代わり、今度はすぐクビになるなよ!」ということです。