また前回の更新から大分間が空いてしまいました。前回の記事を書いたのは湘南戦の後でしたが、その後しばらく試行錯誤しつつも、ようやくバランスの良い戦い方ができつつあるように思います。具体的には、前々節の山形戦あたりから、足元につなぐパスと、シンプルに裏を狙うパスの使い分けのバランスが良くなり、さらに、前節の札幌戦から、大岩とキム・ヒョヌンのポジションを入れ替えた結果、守備のバランスも良くなってきたという印象です(正直、両選手の特徴を考えれば「もっと前から入れ替えるべきだったのでは?」とも思いますが。)。

さて、ジェフの調子が上がって気分もFUN!になってきたので、前から少し気になっていた疑問について調べてみました。

それは、「ケンペスは本当に右サイドからのクロスの方が得意なのか?」ということです。


「ケンペスは右サイドからのクロスの方が得意」という説は、おそらく西部謙司さんが「犬の生活」の中で書かれたのが最初だと思うのですが、たしかに今シーズン、左サイドからクロスが多く配給されているにもかかわらず(たしか中村のクロス数はリーグトップのはずです。)、ケンペスのゴールにはあまり結びついていません。昨シーズンを振り返ると、ケンペスはJ2の得点王だったわけですが、右サイドの(主に米倉の)クロスからの得点が多かったような印象があります。


しかし、(西部さんに喧嘩を売るつもりは全くないのですが、)去年は、単純にケンペスと米倉の相性が良かっただけのような気もします。また、チームの攻撃の形が右サイドに偏っており、左サイドよりも右サイドからのクロスの本数の方が絶対的に多かった気もします。


そこでまず、セレッソでの成績を調べたら何か分かるかなと思って、調べてみました。


ケンペスが2012年に在籍したセレッソ大阪で決めたゴールは合計9つ(リーグ戦で7点、ナビスコカップ・天皇杯で1点ずつ)です。このうち、サイドからのクロスを決めたものは5つで、いずれもヘディングで決めています。その内訳は、右からのクロスを決めたのが3本、左からのクロスを決めたのが2本でした。


(左から決めた2本の動画はこちら)

https://www.youtube.com/watch?v=Mjqx9UhQgqk

https://www.youtube.com/watch?v=k5P_zZcambY (210秒くらいから)


これを見ると、左右でそんなに差はなく、「結局はクロスの質の問題じゃないの?」という気がします。ただし、2012年のセレッソの左右からの攻撃のバランス(クロス数)が分からないので、これだけでははっきりとしたことは言えません。


次に、2013年のジェフでの成績を調べると、合計で23ゴール(リーグ戦で22点、天皇杯で1点)。このうち、クロスから決めたものは10ゴールで、その内訳は右からが8つ、左からが2つ(ただし、何をクロスと定義するかによってこの数字は当然変わってきます。僕がゴール集を見ていわゆるクロスからの得点だと判断したものをカウントしていますが、例えば、第6節北九州戦の2点目の、左からのクロスにあわせたシュートが一度GKに弾かれたところを押し込んだものなど、微妙なものがあるのも事実です。ちなみに、この得点はカウントしていません。)。この10ゴールには、足でシュートしたものも含まれているので、ヘディングに限定して数えると、合計8ゴール(右からが6つ、左からが2つ)でした。


この数字を見ると、たしかに右が多いのですが、昨シーズンに関して言えば、右サイドバックの米倉のクロス本数が非常に多かったのも事実です。単純比較はできませんが、エルゴラの「J2リーグ総集編2013」によれば、去年の米倉のクロス数は161、(主に左サイドバックだった)高橋峻希のクロス数は76と、倍以上の差があります。ちなみに、去年のケンペスの得点で、米倉からのクロスによるものは3つでした(スルーパスによるものも1つあるので、アシストは合計4つ)。イメージよりも少ない気がしますが、それだけ印象に残るゴールが多かったということかもしれません。ちなみに、高橋峻希のケンペスへのアシストは0でした。左からのアシストの2つは、第6節北九州戦のジャイール(コーナーキック)と、第12節愛媛戦の大岩です。


最後に、今年のデータを見てみます。今シーズンここまでのケンペスのゴール数は5つ。PKによる1点以外は全てクロスからの得点で、右からが2点(いずれもアシストは大塚)、左からが2点(いずれもアシストは中村)です。


今年は左からのクロスの方が多いはずなので、やはり右からのクロスの方が得点に結びついている確率は高いのかなと思います。


以上、長々と書いてきましたが、結論としては、結局よく分かりません(笑)。一昨年のセレッソではそこまで大きな差は出ていませんし、たしかに昨年は右からのクロスによる得点の方が大幅に多かったわけですが、それは、左右からのクロスの量と質の違いによる部分も大きいのではないかと思います。今年に関しては、左サイドから中村が質の高いクロスをたくさん上げていて、その割には左からの得点が少ないですが、ケンペスと中村の呼吸がまだ完全に合っていないだけかもしれません(昨年も、ケンペスが米倉のクロスから点をとったのは第11節が初めてでした。)。


何より、今年はケンペス自身のコンディションが悪すぎる気もします。たまたまこの写真を見つけてビックリしたのですが、ケンペスがこのくらい痩せてくれれば、右からでも左からでも関係なくゴールを決められるんじゃないかと思うのは僕だけでしょうか?!


http://www.jsgoal.jp/photo/00100000/00100030.html