常に予想の斜め上を行くのがジェフの伝統です!

J2・7年目にして初の負け越し、順位も11位とクラブ最低記録を更新して今シーズンを終了したジェフ。7月から関塚監督に代わって指揮をとった長谷部監督代行の下でも成績が振るわなかったため、新監督を探していると報道されていましたが、誰も想像しえなかったような人を見つけてきました。

フアン エスナイデル監督の就任内定について(ジェフ公式)

えーと、レアル・マドリードやユベントスでプレーした元アルゼンチン代表のFWで、直近はスペイン2部のヘタフェを指揮していたと。スペイン以外の国で指揮をとった経験はなく、もちろんJリーグは初めて。年齢はまだ43歳。

いつも思うのですが、どういう理由でこういった斜め上の人選をしてくるんでしょうね?アカデミーダイレクターにもスペイン人を招聘すると報道されていますので、「スペイン流の育成を取り入れる」ということなのかもしれませんが、最早、時代の流行はスペインよりもドイツのような気もします。

ジェフは、本当にこういう良く分からないルートからの外国人獲得が多くて、突然、想像もしなかった国(最近ではイタリア、パラグアイ)からJリーグ未経験の選手を連れてきたりします。

何も考えていないのか、あるいは、根っからのギャンブル体質なのか。

ジェフの問題は、親会社が古い体質の大企業であり、また、2社がそれぞれ50%の持分を有していることから、重要な意思決定が柔軟に行えないことだと言われることがあります。でも、逆に、こんなギャンブル性の高い案は、普通、大企業の決裁を通らないのではないでしょうか?どんなにサッカーを知らない人が決裁権者でも、「また失敗するんじゃないの?」と思ってしまいますよね。むしろ、「元アルゼンチン代表のエスナイデル?リーガで監督経験あり?面白いじゃん、それ。YOUやっちゃいなよ!」くらいのノリで全て決めているのではないかという気すらしてきます。

しかし、本当に、そんなエンタメ業界のような軽いノリだけで監督やアカデミーダイレクターを決めているのでしょうか?何か見落としている、大企業ならではの深遠な考えがあるではないか、そうであって欲しい。その一心で考えたところ、いつか読んだ、かの有名なスティーブ・ジョブズ氏の言葉を思い出したのです。

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「顧客が望むものを提供しろ」という人もいる。僕の考え方は違う。顧客が今後、なにを望むようになるのか、それを顧客本人よりも早くつかむのが僕らの仕事なんだ。ヘンリー・フォードも似たようなことを言ったらしい。「なにが欲しいかと顧客にたずねていたら、『足が速い馬』と言われたはずだ」って。ほしいモノを見せてあげなければ、みんな、それが欲しいなんてわからないんだ。だから僕は市場調査に頼らない。歴史のページにまだ書かれていないことを読み取るのが僕らの仕事なんだ。
(引用元:http://nishi248.blog60.fc2.com/blog-entry-1010.html

要するに、顧客(サポーター)に「長谷部さんで継続して欲しい」と言われてそれを提供しているようでは、二流企業。一流企業は、顧客(サポーター)が事前に想像もしていなかったような素晴らしい商品を提供するもの。これがジェフの経営精神なんじゃないでしょうか。

ただの屁理屈だと思われるかもしれません。でも、少しだけ考えてみて欲しいんです。

ジェフがオシムさんを日本に呼ぶ前に、ピッチの11人が連動しまくる「考えて走るサッカー」を想像したことがありましたか?
ゴールキーパーから全て1タッチパスでのゴールを想像したことがありましたか?
ジェフがオーロイを日本に呼ぶ前に、ロングスローを身長2mの巨人がそのままヘッドで叩き込むサッカーを想像したことがありましたか?
今年が始まる前、開幕戦のスタメンが全員新加入のチームを想像したことがありましたか?

これらを全て現実化し、ときには日本のサッカーの発展に貢献してきたのがジェフなのです。

ジェフには、他のクラブのような哲学や、積み上げてきた土台がないと良く言われます。でも、Jリーグが開幕して25年もやってきているわけですから、当然、染み付いたチームカラーはあります。思うに、「他のクラブがやらないようなことをやる」ことが、ジェフのアイデンティティーなんじゃないでしょうか。良く言えば、「リスクを冒す」というか。

そんなカラーは嫌だ、どうせ失敗ばかりじゃないか、もう付き合っていられない、という意見も良く分かります。でも、思い出してみてください。あなたが、一番好きだったジェフのサッカーはいつですか?それも含めて、ジェフというクラブが、「他のクラブがやらないようなことをやる」ことを通じて開発・提供してきた商品なのです。

なので、もう少しだけ、この変わったクラブを見守ってみませんか?成功する確率は低いかもしれませんが、リスクを冒している分、当たったときはきっと面白いですよ。

エスナントカ監督、来年からよろしくお願いします!