天皇杯で連勝して勢いに乗るかと思われたものの、リーグが再開してからは1勝1分2敗と調子の出ないジェフ。前節の大宮戦も敗れ、自動昇格はもう絶望的、プレーオフ圏内からは勝ち点2差の8位に位置しています。

春先に大宮と対戦したときもそうだったのですが、首都圏内の割とビッグクラブ同士(両方とも「じゃない方」ですが。)の対戦だからか、サッカー記者さんがいつもより多く来場されるようで、試合後にはたくさんの記事が出ました。

全て紹介することはできないのですが、ここで取り上げたいのは、イギリス人ライターのショーン・キャロルさんと本田健介さん(サッカーダイジェスト)の記事。特に気になったフレーズをそれぞれ引用すると、「恐らく、サポーターは完全にプレーオフがなくなることを願っているだろう。そして、もし今年もまた3から6位で終わったならば、彼らを茫然自失の状態へ陥れることを意味するだろう。」「ここ3年、敗退を繰り返しているプレーオフは千葉にとって言わば鬼門であり、勢いでは突破できないのは分かっている。」

これらを読んで「うーん、自分の感覚とは違うなー」と思ったわけですが、たしかに、周りのサポーターを見渡してみると「今年も(良くても)プレーオフかよ…」という雰囲気が一部に流れているような気がします。でも、考えてみればみるほど、プレーオフって今のジェフにとって最高の制度だと思うんですよね。というわけで、プレーオフが最高であると思う理由について、説明していこうと思います。

● 弱くても勝てます!

やっぱり一番はこれ。

ショーンさんは「恐らく、サポーターは完全にプレーオフがなくなることを願っているだろう」なんて書いていますが、仮にプレーオフがなかったら、2012年も2013年も当然昇格できていませんし、2013年にいたっては、最終節を待たずして残留が決定しています。唯一、去年(2014年)はジェフは3位でしたが、もうプレーオフ導入3年目でしたし、いまさら「プレーオフがなければ自動昇格だったのに」なんて言っている人はいなかったのではないでしょうか。むしろ、ジェフがこれだけ毎年「昇格まであと一歩」感が出せているのは、プレーオフがあるおかげです。毎年、自動昇格圏に入れないジェフにとっては、プレーオフが最後の希望、可能性なのです。

シーズン中どんなにグダグダでも、最終的に6位以内にさえ入ればチャンスはある!なんて素晴らしい制度だろうか!

● ぶっちゃけ、最後は運!

それでは、「プレーオフは千葉にとって言わば鬼門」、これはどうでしょう。僕の答えは、イエスでありノーです。どういうことかと言うと、ジェフはプレーオフがどちらかといえば苦手、これは間違いない。でも、じゃあどうせ今年もプレーオフでは昇格できないかというと、全然そんなことはないと思うんです。過去のプレーオフ進出チームを見ても、プレーオフに出場する3位から6位のチームは、シーズン中の勝ち点も僅差で、実力に大した差はありません。結局、最後は運で勝敗が決まっている部分が大きいと思います。

誤解がないように言っておくと、僕は、過去のプレーオフでジェフが昇格できなかったのは運がなかったからだ、と言っているわけではありません。それは、やっぱり実力が足りなかったからだと思います。でも、じゃあ昇格したチームには物凄い実力があったかというと、そんなことはありません。所詮、2位以内に入れなかったチーム同士の戦いなので、そんなにずば抜けて強いチームはなくて、ワンプレーの微妙な判定や、試合終了間際の神がかったプレーによって勝敗が決まったりしているわけです。その意味で、最後はやっぱり運に左右される部分が大きくて、ジェフにだって運が回ってこない理由はありません。

つまり、プレーオフに出場し続けてさえいれば、いつかは必ず昇格できると思うんです。2ちゃんねるのAAで、連敗中のチームの火のついた爆弾を、対戦相手が順番に回しているやつがありますが、あれは、連敗中のチームもさすがにどこかでは勝つだろうから、爆弾に見立てているわけですね。プレーオフだって同じで、ジェフだけがいつまでも昇格できないなんてことはないので、出続けてさえいれば、いつかは昇格できるんです。それが今年かは分かりませんが。

● 「自動昇格が目標だったのに…」?

ここまで読んでいただいて、「いや、今年のジェフはこれまでの苦い記憶を踏まえて、自動昇格を目標にしてやってきたはずだ。それなのに今年もプレーオフ争いをしていること自体が情けない」という意見があるかもしれません。

でも、自動昇格を目標にすれば達成できるのであれば、とっくに昇格しているはずです。僕の知る限り、2012年も、2013年も、2014年も、最初は自動昇格を目指していたはずです。もちろん、ジェフが毎年自動昇格を目指すことは当然だと思いますし、それが結果的に達成できなかったのは残念ですが、だからといって、自動昇格の可能性が事実上なくなったことによって応援する気を失ってしまうのは馬鹿らしいというか、全然そんな必要はないと思うわけです。

ジェフ以外のチームに目を広げて考えてみれば、プレーオフの連続出場を維持することだけでも凄いことです。J2のレベルは年々間違いなく上がっていますし、各クラブがそれぞれ知恵を絞って順位を上げようと努力しています。また、昇格に失敗したら主力を引き抜かれるのが、この世界の定めでもあります。毎年プレーオフ圏内を維持することの難しさは、過去に一緒にプレーオフに出場した京都や、大分、横浜FCの現状を見れば良く分かります。勝負の世界で同じ場所に居続けるためには、休まず常に動き続いていなければならず、それで初めて同じ順位がキープできるのです。4年連続プレーオフ出場なんて、達成すればもちろん史上初です。それはプレーオフで敗退し続けているからでもありますが、そのポジションを維持するためのクラブの努力はもっと認められても良いのではないかと思います(とか言って、今年プレーオフを逃したら問題ですが。)。

● 「プレーオフで昇格してもどうせ1年で逆戻りでしょ?」

この意見も結構あるんじゃないかと思います。僕も最近までそう思っていました。でも、どうせ1年で逆戻りだろうと、1度昇格を果たすことに意味があるという風に考えるようになりました。

このチームに一番足りないのは、「成功体験」です。一昨年のガンバ戦とか、ところどころで大きい勝利を挙げたりはしていますが、チームとして、1シーズンを終わった後に目標を達成したという経験が、少なくとも2008年の奇跡の残留以降はない。これが今のジェフの何よりの問題だと思います。

この流れを変えるためには、どんな形でも良いから、昇格を達成するしかない。昇格したところで待っているのは更なる地獄で、J1で戦意喪失するほどボコボコにされるかもしれませんが、いつまでも成功体験がないまま年数を重ねるよりはマシだと思います。

それに、実際問題として、昇格するならプレーオフしかないんです。このままJ2に居続けて、ある年突然J1でも戦えるチームにジェフが変貌して、自動昇格を勝ち取れるなら話は別ですが(一部の人はまだこういう風に考えているような節もありますが。)、J2に居続ければ、年々予算は減って、良い選手や監督は獲得できなくなって、入場者数が減って、予算がまた減って、のマイナスのスパイラルにならざるを得ません。ジェフは今のところ何とか踏みとどまっていますが、いつ限界が来るか分からない。それが嫌であれば、プレーオフでも何でもしがみついて、上のカテゴリーに上がって売上げを増やすしかないんです。

● 今年のポストシーズンの主役になるのは俺たちだ!

最後に、ジェフが今年のポストシーズンの主役になる可能性について。

今年から、J1では2ステージ制復活に伴い、チャンピオンシップが開催されます。日程はちょうど、プレーオフ準決勝の前日にチャンピオンシップ準決勝が開催され、プレーオフ決勝の前日とその前の水曜日にチャンピオンシップ決勝が開催されます。

想像してみてください。現時点でJ1の年間勝点1位がどこになるかは分かりませんが、そこが決勝で負けたとします。優勝したチームは当然嬉しいですが、なんとなく年間勝点1位のチームが優勝できなかったという気持ち悪さが残ります。逆に、年間勝点1位のチームが勝った場合には、気持ち悪い結果にならなくて良かったという安堵感は漂うものの、今度は「そもそも何のためにトーナメントをしたんだっけ?」という感が拭えません。

その翌日、J1昇格プレーオフ決勝が開催されます。第1戦と第2戦があるチャンピオンシップと比べ、90分で全てが決まるという分かりやすさ。負けたチームには、年間勝点1位やステージ優勝といった見栄えの良い肩書きは何も残らず、負けた監督・選手はクビも覚悟しなければならないという残酷さ。そして、その舞台に「4度目の正直」をかけて立つジェフの選手たち。もし勝てば、これ以上のドラマは今年のJリーグにはありません。万が一負けたって、また挑戦すれば良いんです。

今年も行くぞ、プレーオフ!今年のポストシーズンの主役になるのは俺たちジェフだ!

テンションを上げるため、ジェフが昇格を達成した場合のイメージ画像です!

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