親愛なるジェフサポーターの皆様、いかがお過ごしでしょうか?ようやくキャンプも始まり、新シーズンに向けて気持ちが高まってきましたね。この時期は、まだシーズン中のようにはっきりとした結果が出ないので、毎週末ごとに一喜一憂する必要がなく、どれだけ現実離れした妄想をしようと自由。ある意味、一番楽しい季節ではないでしょうか。

さて、移籍先を探しているとサポコミで斉藤TDに明言されていたナム・スンウですが、先日、AFCテュビズというベルギー2部のチームへの期限付き移籍が発表されました(公式)。移籍期間は今年の6月末までなので、今季中に戻ってくる可能性もあり、移籍先の環境などが気になるところなのですが、そもそもAFCテュビズに関する情報量が圧倒的に少ない!

というわけで、AFCテュビズについて、分かる範囲で調べてみました。

AFCテュビズ

英語のウィキペディアによると、AFCテュビズ(Association Football Clubs Tubize)は、1990年にテュビズを本拠地とする2つのクラブ(FC TubizeとAmis Réunis de Tubize)の合併により誕生。テュビズというのはベルギーの首都ブリュッセルの南西約25キロにある町のようですが、検索しても何も出てこないので、本当に何もないところなのでしょう(違ったらすみません。)。

ちなみに、AFCテュビズのロゴとユニフォームはこんな感じです(ナム・スンウのFacebookページより)。

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ベルギー2部の複雑なレギュレーション

AFCテュビズは、2008年に初の1部昇格を果たしましたが、1年で降格。以後はずっと2部にいるようです(奇しくも、ジェフとほぼ同じ2部での在籍年数ですね。)。順位表を見ると、現在は18チーム中9位。もっとも、ベルギー2部は、自動昇格できるのは年間優勝チームのみで、それに加えて、第1ピリオド(1節〜10節)、第2ピリオド(11節〜22節)、第3ピリオド(23節〜34節)のそれぞれの優勝チームと1部で15位だったチームの合計4チームでプレーオフを行い、その勝者が昇格(あるいは残留)するという、中西大介さんもニッコリの複雑なレギュレーションを採用しています。したがって、AFCテュビズも第3ピリオドで優勝すればまだ昇格の可能性があるようで、ナム・スンウも、現地メディアのコメントで「目標は第3ピリオドでの優勝である」と話しています。

韓国企業による買収

詳しい経緯は分かりませんが、AFCテュビズは、2014年8月に韓国のスポーツ・マーケティング企業スポティズン(Sportizen)により買収されています(英語記事)。スポティズンの代表者は、AFCテュビズを買収した理由の1つとして「ベルギーリーグには外国籍選手の人数制限がないこと」を挙げており、韓国の有望な選手がヨーロッパのトップクラブに移籍するためのステップとして、AFCテュビズを利用したいという意向を持っているようです。そうすると、今回の移籍は、年代別代表の常連で韓国では期待の若手であるにもかかわらず、ナム・スンウがJ2で燻っていることに見兼ねたスポティズンが、ヨーロッパ挑戦のチャンスを与えたという見方もできるのかもしれません。

アジアの企業によるヨーロッパのサッカーチームの買収というと、どうしても思い出してしまうのが、祖母井秀隆さんも関わったグルノーブルの例。こちらは、2004年に日本のIT企業のインデックスが当時フランス2部のグルノーブル・フット38を買収し、2008年には1部昇格を果たしましたが、2年後の2010年に2部降格、インデックスが撤退した2011年には財政問題により一気に5部(アマチュアリーグ2部)降格と、ジェットコースターのような浮き沈みを経験しました。最後は粉飾決算にまで手を出して倒産したインデックスと、スポティズンを同列に論じることはできないでしょうが、インデックスの傘下にあった期間にグルノーブルに在籍した日本人の顔ぶれ(梅崎司、大黒将志、伊藤翔、松井大輔)を見ても、グルノーブルへの移籍がその後のキャリアアップにつながったと言えるのは、セリアAのトリノに移籍した大黒のみ。やはり、スポンサーの自国選手贔屓は抜きにして、実力でヨーロッパのクラブから欲しいと言われるようでないと、活躍は難しいのかもしれません。

とはいえ、ナム・スンウにはベルギーで頑張って欲しいところです。このままジェフにいても関塚体制の下ではあまり出場機会に恵まれなかったでしょうから、環境を変えることは良いことだと思いますし、素材は一級品のはずですから、何かのきっかけで化ける可能性は十分にあると思っています。本人のコメントではジェフに戻ってくる意思はあるようですが、半年間経験を積んで夏に帰ってくるなどという甘いことは言わずに、退路を断つ覚悟でヨーロッパに挑戦して欲しいと思います。半年後に中途半端な状態で戻ってこられるよりも、向こうで活躍してジェフに移籍金を残して完全移籍して、いつか韓国のフル代表に召集されて「今となっては信じられないけど、この選手、昔ジェフにいたことがあって、しかも当時は控えだったんだよね」などと悔しがらせてもらった方が、お互い幸せな気がしますので。もちろん、ヨーロッパで活躍した後に戻ってきてくれるのは大歓迎ですけどね。いずれにしても、ベルギーでの動向を注視したいと思います。

で、ジャイールの移籍先はまだ見つからないんでしょうか?